公開日:2025年10月7日
目的:OpenAIが2025年10月7日に発表した最新情報(DevDay 2025)を、開発者・マーケター・AIコンサルが最短でキャッチアップできるよう整理。
サマリー(3分で理解)
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Apps SDK(Preview):ChatGPT内で動作する「ネイティブアプリ」を構築可能に。UI・アクション・データ接続がフルスタック対応。将来は**即時決済(Agentic Commerce Protocol)**も実装予定。
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AgentKit(提供開始):ビジュアル設計・ツール連携・Guardrails・Evalsなどを統合。8分でエージェントを本番公開するデモを披露。
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Codex(GA / GPT5-CODEX):思考時間を動的制御し、リファクタ・レビュー精度が向上。Slack連携・SDK追加。Ciscoはレビュー50%短縮を実現。
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モデルアップデート:
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GPT-5 Pro API:金融・法務・医療など高精度推論が必要な領域向け。
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Realtime Mini:音質そのままに70%安価な音声モデル。
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Sora 2 API Preview:高コントロール性の動画生成+音声同期+静止画からの実写合成。
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公式YouTube(アーカイブ)
OpenAI DevDay 2025: Opening Keynote with Sam Altman
背景と目的
OpenAIはサンフランシスコで2回目となる「DevDay 2025」を開催。
テーマは「AIを“遊ぶ”から“作る”へ」。
4つの柱で発表が行われました:
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ChatGPT内で動く Apps SDK
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エージェント開発を高速化する AgentKit
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ソフトウェア開発を再定義する Codex
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新モデル群 GPT-5 Pro / Sora 2 / Realtime Mini
1. Apps SDK ― ChatGPT内で動くアプリ時代へ
■ 概要
ChatGPTを「アプリプラットフォーム」として開放。
**Apps SDK(Preview)**により、
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UI構築
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データ接続
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アクション実行
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フルスクリーン表示
を実現。
基盤はMCP(Model Context Protocol)。既存のMCPアプリも容易に拡張可能。
■ マネタイズと配布
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ユーザーが既存サービスにログイン連携可能。
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Agentic Commerce Protocolによりチャット内決済も計画。
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App Directoryと会話サジェスト表示を今後実装予定。
■ デモ例
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Coursera:ChatGPT内で動画再生し、内容に質問。
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Canva:チャットからポスター→ピッチデック生成。
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Zillow:地図を埋め込み、物件検索+条件フィルター。
→ いずれもアプリUIとChatGPTの会話が連携。
2. AgentKit ― エージェント開発を「分単位」に
■ 開発者の課題
これまでエージェント構築は
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オーケストレーション
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評価(Evals)
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ツール接続
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UI開発
が複雑で本番化が困難。
■ 構成要素
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| Agent Builder | ビジュアルでワークフロー設計 |
| ChatKit | ブランド対応の埋め込みチャットUI |
| Evals for Agents | ステップごとの採点・自動最適化 |
| Connector Registry | 社内/外部システムを安全接続 |
■ 実例
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Albertsons:売上変動に自動対応する販促提案。
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HubSpot:地域条件+ポリシーを組み合わせたFAQ回答。
■ 8分ライブ構築(Christina)
OpenAI公式サイトに**「Ask Froge」**エージェントを8分で実装。
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GuardrailsでPII保護
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Widgetでセッション情報可視化
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ChatKitでUI埋め込み
→ ノーコードで即本番公開
3. Codex(GA)― GPT-5-CODEXで開発が加速
■ 概要
年初のリサーチプレビューから正式GAへ。
GPT-5-CODEXは、コード理解・リファクタ・レビュー性能が飛躍的に向上。
文脈理解に応じて思考時間を可変。
■ 機能強化
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Slack連携:スレッドでコード生成。
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Codex SDK:社内自動化を容易に。
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管理機能:ダッシュボード・監査・環境制御。
■ 実績
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Cisco:コードレビュー時間を50%削減。
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OpenAI社内:新規コードの大半をCodexが生成。
■ デモ(Romain)
ライブで以下を実現:
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Sony FR7カメラをJavaScript制御
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Xboxコントローラ操作
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音声命令で照明制御
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リアルタイム編集(Codex SDK)でクレジット生成
→ **「コードを書かずに動くソフトを作る」**未来を体現。
4. モデル&APIアップデート
GPT-5 Pro
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API提供開始。
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高精度推論が必要な金融・法務・医療領域向け。
GPT-Realtime Mini
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上位音声モデルの70%コスト。
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音質・表現力は維持。
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今後の主な対話UIに音声が加わる布石。
Sora 2 API Preview
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動画生成モデルがAPI化。
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指示保持性・映像構成力・音同期が大幅強化。
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静止画→動画化も可能。
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事例:Mattelが玩具デザインを高速ビジュアル化。
5. 総括 ― 「月→分」へ、開発の時間軸が変わる
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Apps SDK:ChatGPTネイティブアプリ誕生
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AgentKit:エージェントの迅速展開
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Codex GA:開発生産性を飛躍的に向上
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新モデル群:GPT-5 Pro / Realtime Mini / Sora 2 API
「ソフトウェアは月や年ではなく、分で作れる」
― Sam Altman(Closing)
編集後記
今回のDevDay 2025は、これまで以上に**「エンジニアリングの壁が下がった瞬間」だと感じました。
Apps SDKやAgentKit、Codexなど、一見エンジニア向けの機能が多いように思えますが、実際には非エンジニアでも“自分のアイデアを形にできる”環境**が整いつつあります。
いま必要なのは、「自分はエンジニアではないから」と線を引くのではなく、
エンジニア的な視点やツールを少しずつキャッチアップしていく姿勢です。
ChatGPTやCodexが開発のサポートをしてくれる時代、
誰でも“つくる側”に立てるチャンスがあります。
その一歩を踏み出すために、今回の発表はまさに押さえておくべき内容だと感じます。


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