年間60本運用で学んだ「オンデマンドウェビナー」の作り方|企画・収録・集客・仕組み化まで

3.マーケティング戦略・思考
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この記事の前提と結論

  • 前提:月8本以上・年間60本規模でオンデマンドウェビナーを運用。リード目標を未達にしない状態を継続。
  • 結論「目的→テーマ/タイトル→配信〜集客→データ活用」をテンプレ化し、集客導線(メール/LINE/LP)を先に作ること。コンテンツは後からでも追いつけます。
  • ポイント:KGI・KPIを数値で固定、タイトルは「誰に/何が得られる/それは何?」、集客は少ししつこいくらいでOK、配信後の商談化を最短動線に。

なぜ書くのか

オンデマンドウェビナーは「売上に直結するコンテンツ資産」です。一方で、実務は細かく、初速で失敗すると続きません。本記事は、誰でも社内で回せる運用テンプレとして、私のやり方を具体例付きで公開します。自社の業界や商材に合わせて、そのままご活用ください。


1. 目的設計:KGI/KPIを先に固定する

ウェビナーは「講師の知見を広める場」だけではなく、ビジネス目的が核です。まずは数値を決めます。

レイヤー 項目 例(BtoB)
KGI 受注・売上 四半期で新規受注5件、ARR 2,000万円
KPI 新規リード 1本あたり新規登録120件、資料DL60件
KPI 商談化率 視聴者→商談化 8%以上
KPI リピート視聴 シリーズ内リピート率 30%

目的のタイプ(どれか1つを主目的に)

  • 新規リード獲得(最優先KPI:登録/視聴数、商談希望数)
  • 既存育成・ファン化(視聴維持率、リピート率、NPS)
  • 有料化/マネタイズ(申込率、単価、LTV)

2. 企画:テーマ・タイトル・講師が集客を決める

2-1. テーマ設計(市場×自社×顧客課題)

  • 市場性:検索/コミュニティ/展示会の関心が高い論点
  • 自社優位:事例・データ・機能で語れる強み
  • 顧客課題:「今困っていること」を掴む(サポート/営業のFAQを活用)

2-2. タイトルフォーマット(反応率が高い型)

「誰に|何が得られる|それは何?」の3点セット。数字と具体を入れる。

  • 例(BtoB):
    美容クリニックの院長・経営者向け広告費を増やさず新規数120%にオンデマンド集客フローの作り方
  • 例(BtoC):
    初めての医療脱毛でも失敗しない費用・痛み・回数のリアル専門医が10分で解説
  • 比較検討系:
    〇〇機器/サービス 徹底比較導入後3か月の実データ公開失敗しない選定基準

2-3. 講師選定と交渉の実務

  • 候補出し:自社顧客/導入先/コミュニティ登壇者/学会演者から短リスト
  • 打診順序:①関係性がある顧客 ②相互メリットが大きい有識者 ③影響力のあるKOL
  • 交渉ポイント:謝礼(相場/金額幅)、露出メリット(プロフィール・リンク・共同PR)、編集権限(最終確認)
  • 契約:委託契約(著作権/二次利用/守秘/医療広告等の順守)

3. コンテンツ制作:事前準備→収録→編集→最終確認

3-1. タイムライン(目安)

  • T-21〜14日:台本/スライド骨子、素材集め、収録ブッキング
  • T-10〜7日:収録(オンライン/訪問)、Bロール・画面キャプチャ
  • T-6〜3日:編集(カット/音声処理/テロップ/OP・ED/CTA挿入)
  • T-2〜1日:講師最終確認→Fix、サムネ/LP最終化

3-2. 収録の勘所

  • 音声最優先:外部マイク、残響を減らす、ノイズ除去
  • 画面:フォント大きめ、デモは事前に録画(本番は再生)
  • 台本:「導入1分→本論3章→まとめ→CTA」構成で10–20分

3-3. 編集の型

  • OPロゴ(2–3秒)→アジェンダ→本編→まとめ→CTA(資料DL/商談予約)→ED
  • 要点テロップ、章区切り、BGMは小さく、余白秒数を短く

3-4. 最終確認

  • 講師OK(事実関係・表現チェック)
  • 広告/法規制(医療/景表法など)順守チェック
  • CTAリンクとUTMの動作確認

4. 配信と集客:導線を「先に」作る

4-1. LP(ランディングページ)

  • 必須要素:タイトル、3つの学び、対象者、所要時間、講師プロフィール、視聴フォーム(同意チェック)、CTA(資料DL/商談)
  • サムネ:1200×630推奨、タイトル10–14字×2–3行、強い数字を1つ

4-2. 集客(メール/LINE/Xなど)

  • 配信設計例(少ししつこい=適切)
    D-7:告知1(価値/数字)
    D-4:告知2(参加特典/資料)
    D-2:再送(未開封セグメント)
    D-0:当日リマインド(視聴リンク)
    D+1:アーカイブ案内+資料DL+商談誘導
  • 件名例:「広告費ゼロで新規+120%|10分で仕組み公開」「失敗事例から学ぶ自費増の設計」
  • LINE:カルーセルで「視聴/資料DL/事例」の3CTA、ステップ配信で未視聴にリマインド

4-3. 当日運用(オンデマンド公開日)

  • フォーム動作/タグ付け確認、LPの1分視聴版(ティザー)をSNSで回す
  • 営業へ「ホットシグナル」を即通知(後述のデータ項目)

5. 配信後:データ収集→営業連携→次回改善

  • 収集する数値:登録数、視聴率、完了率、資料DL、CTAクリック、商談希望、既存/新規の内訳、セグメント別反応
  • 営業展開:視聴完了+資料DL+商談ボタン=最優先フォロー
    視聴開始のみ=ナーチャリングへ(別コンテンツ推薦)
  • 改善:タイトルAB、サムネAB、件名AB、導線配置、動画長さ(10–15分最適化)

6. 仕組み化:テンプレと運用ループを固定

  • テンプレ群:台本雛形、スライド雛形、OP/ED/テロップ、LP雛形、メルマガ/LINE文面、サムネPSD/Canva
  • 自動化:登録→CRMタグ、未視聴→D+3リマインド、完了→資料DL促進、DL→商談予約リンク送付
  • リスト運用:属性×興味タグでリストを「温める」。毎週コンテンツ推薦を送る。

具体例:医療機器(BtoB)のオンデマンド例

テーマ:「美容クリニックの売上を最大化|導入3か月で自費売上+28%の運用術」

  • タイトル:「院長・経営者向け|広告費を増やさず新規+120%|10分で分かる集客フロー」
  • KPI:登録150/視聴90/資料DL50/商談希望15(商談化率10%)
  • 構成:導入1分→課題3つ→事例2つ→定量効果→運用チェックリスト→CTA(資料DL/商談)
  • 集客:既存 to院長・看護師長、未導入見込み、学会リスト類似、LINE配信(未視聴者にD+3で追撃)

よくある失敗と対策

  • 失敗:テーマが抽象的。
    対策:数字・対象・期間を入れて具体化。
  • 失敗:LPで「何を得られるか」が不明。
    対策:「3つの学び」を冒頭に。
  • 失敗:集客が1回で終了。
    対策:未開封再送、リマインド、LINEステップで補完。
  • 失敗:配信後に放置。
    対策:商談希望→即営業、視聴完了→資料DL、未視聴→再送の自動ルール。

付録A:当日~配信後のチェックリスト

  1. フォーム/UTM/タグ動作
  2. LP/サムネ最終確認
  3. 動画最終チェック(音量/誤字)
  4. 告知配信(メール/LINE/SNS)
  5. リアルタイムの登録/視聴を監視
  6. 営業へのホット通知(視聴完了+DLなど)
  7. D+1 アーカイブ案内+資料DL+商談
  8. 結果レポート化→次回改善点の決定

付録B:KPIダッシュボード(項目例)

  • 登録数(新規/既存)・視聴率・完了率・平均視聴時間
  • 資料DL・CTAクリック・商談希望・商談化率・受注率
  • チャネル別反応(メール/LINE/SNS/紹介)
  • タイトル/サムネ/件名のAB結果

テンプレ(コピペ用)

タイトル型(Who|Benefit|What)

  • [対象][得られる利益/数字][中身を端的に]
  • 例:「経営者向け|広告費ゼロで新規+120%|10分で分かる集客フロー」

LP見出し

  • この10分で分かること(3つ)
  • 対象(誰におすすめか)
  • 講師プロフィール
  • 今すぐ視聴する(フォーム)

メール文面(告知1・短文)

 件名:広告費を増やさず新規+120%|10分で仕組み公開 本文:◯◯様、反応率が高かった集客フローを10分で解説します。 ・学べること:◯◯、◯◯、◯◯ ・対象:◯◯(職種/規模) 今すぐ視聴▶︎ [視聴リンク]

まとめ(要点)

  • まず目的(KGI/KPI)を固定。リード/商談/受注の数値化。
  • 集客は「誰に×何が得られる×それは何」の型で刺す。数字と具体。
  • 導線(LP/サムネ/メール/LINE)を先に作る。配信後の自動フォローを用意。
  • 毎回の結果をダッシュボードで振り返り、テンプレを改善し続ける。

おわりに(活用のお願い)

本記事のテンプレを自社の商材・規制に合わせて書き換えるだけで、明日から回せます。もし「最初の3本」を一緒に立ち上げたい場合は、企画設計・台本・LP・編集・計測・営業連携まで伴走します。お問い合わせからご連絡ください。

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