はじめに
AIや自動化ツールが急速に広がる中で、非エンジニアでもDXやAI活用に関わる場面が増えています。
しかし「どのツールを導入すべきか」「施策をどこに絞るか」など、意思決定の場面で迷った経験はありませんか?
そんなときに役立つのが クリティカルシンキング(批判的思考) です。
単なる知識や経験に頼らず、論理的に筋の通った結論を導ける力は、今後さらに価値が高まります。
本記事では、書籍『実践型クリティカルシンキング 特装版』をベースに、
非エンジニアでもすぐ使える思考法 としてのクリティカルシンキングを解説します。
なぜクリティカルシンキングが重要なのか?
AIは“手段”です。
成果を分けるのは「どこに注力するか」「何を優先するか」といった 人の判断 です。
経験や勘に頼るのではなく、筋の通った思考で意思決定できるかどうかが、
AI時代のビジネスパーソンに求められています。
クリティカルシンキングの本質:3つの力
クリティカルシンキングのゴールは、
「経験のない領域でも素早く、根拠を持って結論を導くこと」。
そのための3つの力は以下です。
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素早く結論を出す – 会議や議論でスピーディーに方向を示す
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経験がなくても判断できる – 新しい領域でも仮説を立てられる
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判断の根拠を説明できる – 他者を納得させ、実行につなげる
実践のための3ステップ
では実際にどう進めればよいのか?
クリティカルシンキングの流れはシンプルに3ステップです。
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目指すものを定義する
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ゴールを明確化する(例:売上向上 → 「新規顧客30件獲得」)
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問題を明らかにする
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現状とのギャップや阻害要因を整理(例:商談率が低い → フォロー不足?)
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打ち手を考える
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複数の施策を出し、実現性・効果・コストで比較して選ぶ
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筋の良い打ち手を考えるコツ
思いつきでアイデアを出すと抜け漏れや偏りが生じます。
そこで役立つのが MECE(漏れなく・ダブりなく) と フレームワーク です。
基本となる5つのフレームワーク
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3C / 4C分析 – 市場・競合・自社、あるいは顧客視点で整理
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4P – Product / Price / Place / Promotion を切り口に施策を考える
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バリューチェーン – 活動プロセスを分解して課題を見つける
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マーケティングファネル – 顧客の購買プロセスを段階的に捉える
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7S – 組織の戦略と体制を整合性の観点からチェックする
事例:AIチャットボット導入を考える場合
例えば「顧客対応の負荷を減らすためにAIチャットボットを導入したい」というケースを考えてみましょう。
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目指すもの
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月100時間の工数削減、CS調査で顧客満足度80点以上
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問題を明らかにする
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FAQ未整備、担当者にノウハウ不足、導入コスト不透明
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打ち手を考える
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案A:FAQ整理からスタート
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案B:問い合わせ分類・自動応答を先行導入
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案C:チャット+有人サポートのハイブリッド
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さらに、
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3C分析でベンダー比較
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ファネル分析で顧客接点をチェック
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7Sで運用体制を確認
といったフレームワークを組み合わせることで、根拠ある結論を導けます。
まとめ
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AI時代に差をつけるのは「ツールを選ぶ力」ではなく 判断力
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クリティカルシンキングは「経験に頼らず、論理的に結論を出す思考法」
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実践は ①目指すもの定義 → ②問題特定 → ③打ち手立案 の流れで進める
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打ち手の質を高めるには MECE+フレームワーク(3C, 4P, バリューチェーン, ファネル, 7S) を活用する
✅ 一言でいうと
クリティカルシンキングとは「経験ゼロでも筋の良い判断ができる力」。
非エンジニアこそ身につけることで、AI時代のプロジェクトでリーダーシップを発揮できます。


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