外資系に転職して1年を振り返る。

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はじめに

外資経営メーカーへ転職してから1年。業界の慣習も組織の文化もまったく異なる環境に飛び込み、あっという間のようでいて、多くの学びや変化を実感できる期間でした。

過去は病院勤務で理学療法士というキャリアを積んできた私にとって、メーカーかつ外資経営の企業文化に馴染むのは正直なところ簡単ではありませんでした。

それでも、新しい場所に飛び込んだことで見えてきた世界があり、得られた気づきも数多くあります。本記事では、1年間を振り返りながら、「よかったこと」「課題に感じたこと」を整理してみたいと思います。


1:成長できる環境に身を置けたと思う

外資系企業、特に外資メーカーで働く大きな魅力の一つに、「仕事のスケールの大きさ」が挙げられます。

前職では、プロジェクトや施策の予算規模が数百万円単位で進むことが多かったのに対し、現在の職場では1億円、あるいは部門全体では3億円規模で物事を考えなければなりません。

もちろん、案件の規模が大きくなればなるほど関わる人数も増え、社内外の調整が必要になります。

巻き込む人数の増加と調整力の重要性

予算が大きい案件では、社内の他部署や外部パートナーとの連携が欠かせません。

たとえば広告キャンペーンひとつにしても、担当者・制作チーム・メディアとの折衝、法務・経理部門とのすり合わせなど、多角的なコミュニケーションが必要です。

多様なステークホルダーを巻き込むことで、調整力・ディレクション力・交渉力など、仕事の質と幅を拡張するスキルを磨ける環境がありました。

こうした規模のプロジェクトを動かす経験は、組織での仕事を加速させるうえで大きな財産になったと感じています。


2:出張経験

外資系企業で働く上で、海外出張や国内出張の機会も増えました。

私にとって、これまで病院勤務時代にはほぼ考えられなかった「朝から空港に行き、海外へ飛んでミーティングをし、夜は会食、その後ホテルに戻ってから資料作成」という流れは大きなカルチャーショックでした。

韓国出張での気づき

特に印象深いのは韓国出張です。言葉の壁を感じる場面もありましたが、英語や現地語でのコミュニケーションを工夫しながら進めることで、「言葉の違いだけで仕事を止めてはいけない」という意識を強く持つようになりました。
単なる観光とは違い、海外でのビジネスや商談を通じて、世界規模の市場に身を置いていることを実感できます。

また、「移動による疲れ」や「時差や言語差のストレス」といった負荷も大きく、仕事への取り組み方が根本的に変わったように思います。出張の度に体力的にハードなスケジュールをこなしつつも、現地のメンバーと直接顔を合わせて意見交換する意義は非常に大きいと感じました。

国内出張との比較

海外と比べると国内出張は移動がやや楽に思えますが、それでもこれまでデスクワーク中心だった時期と比べると刺激的な変化でした。地方の支店を訪れ、現場の課題を肌で感じることができるのは、結果的に自分の視野を広げる良い機会になっています。


3:退職者の多さ(上司が1年で3回変わった)

外資系企業であるがゆえに、組織改編や人事異動が頻繁に行われます。これは会社によっても程度の差があるでしょうが、私が所属する部署では、1年の間に上司が3回変わるという激動がありました。

予想外の人事異動

たとえば、入社して2ヶ月ほどで直属の上司が退職。その後は取締役が兼任で上司業務を行う形となりましたが、今度はその取締役も約8ヶ月後に辞めてしまう。それから3ヶ月ほど経ってようやく新任の部長が外部から採用されました。正直、頻繁すぎる変化には戸惑いがあり、評価の体制も曖昧になりがちでした。

対処法:目の前の仕事に集中する

いきなり人事評価者が変わってしまうと「誰にどのような形で成果をアピールすればいいか」という不安が生じがちです。しかし、振り回されないためには「まずは目の前の仕事をしっかりやる」という基本に戻ることが大切だと感じました。

上司が変わっても、プロジェクトの納期や予算は急には変わりません。タスクを一つひとつ丁寧に片付けていき、業績・数字を着実に積み上げることが最終的に自分の評価にも結びつきます。


4:ジョブ型で「スキルごとに職がある」

外資系メーカーでよく採用されるジョブ型雇用では、「スキルや職能ごとにポジションが設計されている」特徴があります。これは、職務範囲や責任が明確になるメリットがあり、転職市場での価値を高めるうえでも大きな後押しとなると感じています。

専門スキルを磨いてキャリアを広げる

私の場合、今後はデジタルマーケティングの領域でスキルを深めたいと考えています。デジタルマーケティングと一口に言っても、多岐にわたります。外資系企業には最新のマーケティングツールやグローバルで統一されたプラットフォームがあることも多く、幅広い実務スキルを身につける好機があると思っています。

また、ジョブ型であるがゆえに「職種の軸」がはっきりしているため、キャリアを横断的に移動しやすい利点もあります。今の会社でデジタルマーケターとして実績を出せば、将来的には別の外資企業でも同じ職種領域で働きやすくなるでしょう。このように専門性を高めるメリットがあると同時に、自分自身が軸とするスキルを常に磨く姿勢が求められます。


5:外資系ならではの「成果主義」の厳しさ

ジョブ型の明確な職務と連動して、外資系では一般的に「成果主義」が色濃く反映されます。日本企業にも成果主義が浸透し始めていますが、外資系ではそのスピードや評価基準の切り替えがさらに顕著といえるでしょう。

数字で見える成果が最重要

外資系の社風として、「客観的に測定できる成果」が評価の軸になります。売上やKPI(主要業績評価指標)の達成度合い、担当プロジェクトでの成果などが、給与や昇進に直結しやすい。逆にいえば、「目に見えづらい貢献」は評価されにくい傾向があります。たとえば社内調整をうまくやったり、裏方として周囲を支援したりといった動きは、きちんと数字に結びつけるか可視化しないと正当にアピールできません。

日本的“なんとなく評価”とのギャップ

日本企業でありがちな「上司に気に入られれば昇格」や「長く勤めていれば給料が上がる」などの暗黙の慣習は、外資系では通じないことが多いです。年齢や在籍期間よりも、過去1~2年の実績・スキルアップ度合いが重視されます。成果が出ないと待遇は厳しくなり、逆に成果を出せば着実に評価される。明快である一方で、「安定」を求める人には相応のストレスになるかもしれません。


おわりに

この1年を振り返ると、「一つひとつの仕事のスケールが大きくなったことで成長機会が増えた」「海外・国内を含めて出張が増え、働き方や体力面の意識が変わった」「退職者が多いため組織変更に振り回されつつも、結局は目の前の仕事を一つずつこなすしかない」など、いろいろな出来事がありました。中でも、ジョブ型雇用や成果主義がはっきりしているという外資系特有の仕組みは、私にとってキャリア形成の軸を強く意識するきっかけになりました。

特にデジタルマーケティングの領域で専門性を高めたいと考えている私にとっては、今の環境は学びと実践の連続です。外資系企業での経験は「長時間労働=成果」ではなく、「市場価値を高めるスキルを磨きながら、成果を出す」ことが求められます。評価基準が明確だからこそ、結果にコミットしなければ次のステップは踏めない。ある意味、シビアではありますが、大きく成長するうえでのチャンスが広がっていると感じます。

今後も、規模の大きなプロジェクトや海外ビジネス、さらにジョブ型での職務を通じて自分の価値を高め、次の1年、3年、5年後にはさらなる飛躍をしていきたいと思っています。転職を考えている方や外資系に興味がある方には、一連の体験談が何らかの参考になれば幸いです。少なくとも「英語が苦手だから無理」「変化が激しくてついていけない」と尻込みする前に、スキルを磨く意欲があれば飛び込んでみる価値は十分にあるのではないでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。これからも新たな挑戦と学びを重ねる毎日ですが、この1年の振り返りを糧に、さらなる成長を目指していきたいと思います。

今後はデジタルマーケティングのより細かいトピックや、外資系企業で活躍するための具体的なスキルについても記事にできればと考えています。

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