生成AIはどこまで使える?5つのフェーズで見る得意と苦手、人間に必要な力とは

1.AI活用・業務効率化
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生成AIはどこまで使えるのか? ― 講演内容から学んだこと

最近、社内外で「生成AIをどう活用するか?」というテーマで講演や勉強会が増えています。私自身も先日、生成AI活用に関する講演に参加し、AIが得意なこと・苦手なことを整理するフレームワークを学びました。今回はその内容をブログにまとめてみます。


生成AI活用の5つのフェーズ

講演では、情報を扱うプロセスを 5つのフェーズ に分け、それぞれで生成AIがどの程度有効かが整理されていました。

フェーズ 内容 AI活用の有効性
アジェンダ設定 何をテーマにするか、何を問うかを決める 限定的。過去の知識やトレンドから提案は可能だが、本質的な問題設定には人間の価値観や直感が不可欠
仮説構築 問題に対する仮説や方向性を立てる 部分的。類似事例の提示や因果関係の推定は支援できるが、創造的飛躍には人間の経験が必要
情報の収集 文献・データ・専門家意見などの収集と整理 非常に有効。検索・要約・翻訳・整理を高速かつ効率的に実行可能
情報の分析・統合 得られた情報を比較・分析し、構造化する 有効。テキストマイニングや統計処理で補助可能
情報の出力 文書・プレゼン・図解・報告書などの表現 非常に有効。構成提案、草稿作成、表現改善、図表生成を強力に支援

私が特に重要だと感じた点

表からわかるように、生成AIは 情報収集情報出力 において非常に強力です。大量の情報を一瞬で整理したり、わかりやすい資料にまとめたりする力は、人間の作業効率を大きく高めてくれます。

一方で、アジェンダ設定(何をテーマにするか、何を問うか)や 仮説構築(どんな方向で考えるか)はまだAIが苦手な領域です。ここは人間の直感・経験・価値観が不可欠。

私自身も「結局、AIがいくら賢くても、問いを立てるのは人間だ」と強く感じました。鋭い問いを設定できるかどうかが、AIを活用する上で最大の分岐点になるのです。


まとめ

  1. 過去の産業革命では「生産性が高まる箇所」そのものよりも、その前後に発生する ボトルネック の解消が重要だった。

  2. 生成AIの普及により、知的生産プロセスの下流は飛躍的に効率化する一方で、ボトルネックは 「アジェンダ設定」「仮説構築」 といった上流工程にシフトしている。

  3. この領域は、統計や訓練データに依存するAIが本質的に苦手とする部分でもある。

  4. 特に「アジェンダ設定」には、哲学・歴史・科学などの領域横断的な教養の有無が大きな差を生む。


私の意見

私はこの点が非常に大切だと考えています。AIが優れているのは「過去の知識を整理し、効率よく出力すること」ですが、未来を切り開くための問いを立てるには、哲学・歴史・科学といった知見や教養が欠かせません。

さらに、この領域は教育とも深く関わるのではないかと感じます。AIが普及するほど、情報を検索・要約するスキルよりも、「正しい問いを立てられるか」「仮説を構築できるか」 という力が求められるようになります。

しかし、仮説構築やアジェンダ設定は簡単ではありません。経験や直感に加えて、多角的な視点や幅広い知識が必要です。だからこそ、これからの教育は「情報を覚える」こと以上に、教養をベースにした思考の鍛錬を重視すべきだと思います。


結論

  • AIは「考える時間を増やすツール」である

  • しかし「問いを立てる力」は人間にしか担えない

  • その力を支えるのは、哲学・歴史・科学を中心とした幅広い教養

  • 教育のあり方が、AI時代の人間の強みを左右する

生成AIを活かすには、AIに依存するのではなく、人間側の教養を磨き、仮説構築力を鍛えることが最も重要だと改めて実感しました。

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